海外在住の相続人がいる場合の相続手続き② (2020.05.18)

前回のトピックスで、日本国籍をもつ海外在住の相続人がいる場合を取り上げました。
(⇒【海外在住の相続人がいる場合の相続手続き①】 はこちら)
今回はその続編として、海外在住の相続人が外国籍を取得している場合のお話です。
日本においては、「相続は、被相続人の本国法による」と定められています。(法の適用に関する通則法第36条)
そのため、被相続人が日本国籍であれば、相続人の国籍にかかわらず、日本国籍の相続人と同様の権利・義務が発生します。
しかし、今回のように海外在住の相続人が国籍そのものも外国籍に変更している場合、どのように手続きを進めればよいのでしょうか。
まず、日本国籍でないため、現地の日本領事館で署名証明書や在留証明書を発給してもらうことができません。
また、外国に帰化すると日本国籍を離脱して戸籍から抜けてしまいます(除籍)。
そのため、除籍以降の情報については戸籍謄本以外の方法で補い、相続人であることを証明する必要があります。
相続人の国に日本と同様の戸籍制度があれば、その国の戸籍証明書を取得します。しかし、ほとんどの国には、日本のような戸籍制度は存在しません。
よって、海外在住の相続人が外国籍を取得している場合、相続手続きに必要となる書類が取得できないので、これに代わる証明書を用意しなければなりません。
こうした場合に、必要書類のうち不足するものを補うために利用されるのが「宣誓供述書」という書類です。
宣誓供述書とは、『宣誓供述を行う者が自分の知りうる事実を書き記し、大使館の係員や本国の公証人などの認証権者の面前で、その記載内容が真実であることを宣誓したうえで署名または押印し、認証権者(公証人等)が、宣誓する者と署名する者が同一人であること、本人の供述であることを確認して認証文や印章を付与した書面』のことです。
相続人についての宣誓供述書の場合ですと、
「被相続人◯◯の相続人は✕✕である」
「✕✕以外に相続人は存在しない」
「宣誓供述を行う者の住所」
「サインが本人で間違いない」
などの文言を1通にまとめた宣誓供述書を作成し、これに現地の公証人の面前で署名し、それを認証してもらったものを利用するのが一般的です。
なお、この書面は日本国内の相続手続きに利用するため、現地の母国語で記された書類の他、日本語に翻訳したものも用意します。
海外在住の相続人が外国籍を取得している場合、相続手続きの必要書類が通常とは異なります。
上記のように、必要条件を記した書類を作成するだけでも、それ相当の準備と時間がかかります。ですので、個人での対応や、こういった相続案件を経験していない司法書士では手続き完了まで辿り着くこと自体が至難の業と言えるでしょう。
今回のケースに当てはまる場合は、様々な案件対応した専門チームを有する、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまでお早めにご相談ください。