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任意後見制度の概要と契約の流れ (2020.07.28)

 

 

≪目次≫

1.成年後見制度の概要

2.法定後見制度と任意後見制度の違い

3.任意後見制度の流れ

4.任意後見契約の効力発生

5.任意後見のパターン

 

以前のトピックスでは「法定後見制度」の概要をご説明させて頂きました。

⇒【相続手続きと法定後見制度】はこちら

ところで、みなさまは「任意後見」という制度をご存じでしょうか。

お客様からは、『名前は聞いたことがあるけど、内容がよくわからないから教えてほしい』『成年後見人の制度とはなにが違うの?』といったご相談・ご質問をよくお聞きします。

そこで今回は任意後見制度の概要についてご説明致します。

 

1.成年後見制度の概要

まず、制度の枠組みとして「成年後見制度」の中に「法定後見制度」と「任意後見制度」があります。

そして、「成年後見制度」とは、判断能力が不十分な方々を法律面や生活面で保護したり支援する制度のことです

この「成年後見制度」は、

①ノーマライゼーション
②自己決定の尊重
③身上配慮義務

という3つの理念のもと、「後見人」は単に財産を管理するに止まらず、本人の生活を支える役割を担っているといわれています。

 

 

私たちは誰でも歳をとります。そして、年齢を重ねるとどうしても判断能力が落ちてきてしまいます。

判断能力とは、“こういう行動をすると、どういう結果になるか判断できる能力”のことをいいます。

年齢を重ねて判断能力が落ちてきたときに、騙されて高価な買い物をさせられたり、自分の財産を管理できなくなってしまったりと、沢山の不安が考えられます。

そんなときでも安心して生活が出来るように「成年後見制度」が存在します。

成年後見制度を利用して、自分らしく生きることを支援していくことが、後見人の大きな役割となっています

 

2.法定後見制度と任意後見制度の違い

 

●法定後見制度 … すでに判断能力が不十分な人に代わって、法律行為をする制度

●任意後見制度 … 今は元気だが、将来判断能力が不十分になった時に備える制度

法定後見制度と任意後見制度との一番の大きな違いは、“今、判断能力が十分かどうか”という点です。

任意後見制度は「後見を利用する人」と「後見人となる人」との契約になります。

そのため、後見を利用する人が「この人に○○をお願いしたい」「○○なときには○○をしてほしい」と明確に考え、伝えられることが必要となります。

また、法定後見制度は家庭裁判所に申し立てをして、家庭裁判所が成年後見人を選任するのに対して、任意後見制度は将来の不安に備えて自分で後見人になってほしい人と契約をし、将来判断能力が不十分になった時に希望通りの人が後見人になる制度になります

 

法定後見人の選任方法

 

3.任意後見制度の流れ

任意後見制度のおおまかな流れは下記のようになります。

 

1.任意後見の3つのパターンからどのパターンにするかを選択する

即効型・・契約と同時に任意後見監督人申し立てを家庭裁判所におこなう
移行型・・任意後見契約と任意代理契約を締結する
将来型・・任意後見契約だけを締結する

     ↓

2.契約内容を決定する

任意後見契約の内容を詳細に決めていきます。

また、移行型の場合は合わせて任意代理契約の内容も決定していきます。

     ↓

3.公正証書にて契約書を作成

将来任意後見人となる人と契約を締結します。この段階では、まだ任意後見の効力は発生せず、将来に備えている状態です。

この時の将来任意後見人となる方を「任意後見受任者」と呼びます。

     ↓

~~~本人の意思能力低下~~~

4.家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立て

     ↓

5.家庭裁判所が任意後見監督人を選任

     ↓

~~~任意後見契約の効力発生~~~

6.後見人としての支援開始

任意後見受任者」から「任意後見人」となります。

 

4.任意後見契約の効力発生

どの時点で任意後見契約の効力が発生するかといいますと、それは「任意後見監督人が選任されたとき」です。

将来に備えて任意後見契約を締結した時点では、まだ意思能力に問題はなく普段通りの生活を続けていきます。

その後、意思能力に不安が生じ、後見支援を始める必要が出てきたときに、家庭裁判所への「任意後見を開始する」ための「任意後見監督人」の選任を申立てます

この任意後見監督人が裁判所によって選任されて初めて、任意後見契約の効力が生じることになります。

 

任意後見契約の締結

将来意思能力が低下したときに必要な支援を、本人と「任意後見受任者」とで任意後見契約の締結をします。

なお、この時点ではまだ契約内容の支援は開始されません。

 

意思能力の低下・家裁への申立

本人の意思能力が低下したときに、本人・配偶者・4親等内の親族・任意後見受任者から「任意後見監督人」の選任申立をします。

 

家裁の審判・審判内容の登記

申立内容を家裁が調査・審問し、任意後見監督人の選任の審判をします。

家裁で審判がされると、任意後見登記事項に「任意後見受任者」から「任意後見人」と記載され、任意後見監督人とともに登記されます。

ここで初めて契約の効力が生じ、支援が始まります。

任意後見の効力発生フロー

しかし、任意後見契約を締結した時点で生活に対する不安があったり、意思能力は問題ないが金融資産の管理をお願いしたい等、様々な状況が考えられます。

そこで、任意後見制度には3つのパターンがあり、本人の生活状況を支援する仕組みが制度として作られています。

 

5.任意後見のパターン

以前のトピックスの「任意後見制度の流れ」の中で1つ目の項目としてあげました、任意後見の3つのパターンについてご説明します。

即効型・・契約と同時に任意後見監督人申し立てを家庭裁判所におこなう
移行型・・任意後見契約と任意代理契約を締結する
将来型・・任意後見契約だけを締結する

 

任意後見のパターン選択フロー

①の即効型は、任意後見契約と同時に任意後見監督人の選任申立をすることで、すぐに任意後見人の支援が始まります。

②の移行型は、任意後見契約の内容の実現は将来意思能力が低下した際に、任意後見監督人を選任することにより実現させるが、現時点で支援してほしい内容を別途「みまもり契約」や「財産管理契約」を通常の委任契約として締結し、任意代理人に支援してもらいます。

③の将来型は、現時点では生活に不安はないので、将来のために支援内容を決めて任意後見契約を締結し、意思能力が低下するまではそのままの生活をしていきます。

 

任意後見制度を利用する上では、本人の意思や生活状況、周りの方の支援の状況等を踏まえてどの形が一番ふさわしいか、を考え選択する必要があります

また、将来のことまで見据えて契約内容を締結していかなければ、様々なリスクや不安に対応できません。


お手続きの流れの各項目ごとに注意するべき点があります。

任意後見制度の利用にあたっては、専門家を交えて相談ご検討していくことをお勧めいたします。

当法人では任意後見制度の利用にあたって、ご相談から契約内容の精査、当法人にて任意後見受任者になるお手続きまでご提案させて頂きます。

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