遺言と異なる内容の遺産分割協議 (2020.10.13)

相続が発生し、被相続人に財産があった場合、誰がその遺産を相続するか、という話になりますが、実務上、まず確認することは被相続人が遺言を遺しているか否か、という点です。
法律上、遺言は遺言者の最終意思の尊重という観点から、原則、遺言内容に従う必要があります。
ですので、相続登記や遺産整理を受任する際、司法書士としては遺言が残されているかヒアリングをしていきます。
ヒアリングだけでは、遺言の有無が分からないときは、場合によっては公証役場にて、公正証書遺言の存否を確認する手続きをとる場合もあります。
これほどまでに、遺言というものは尊重されるべきものなのです。
では、例として下記の相関図を見てみましょう。
被相続人が『一切の遺産を妻に相続させる』旨の遺言を残して亡くなった場合、相続人全員は自分たちの意思に反して遺言通りに手続きを進めなければならないでしょうか?
答えは、、、
NOです!!
上記の事例では、奥様が遺言通りに相続財産を受け取ってしまうと、近い将来に訪れるであろう二次相続の際は、配偶者特例が一切使えず、長男・次男が重い税負担に苦しむことは目に見えています。
そういった不合理な結果を招かないよう、原則は遺言の趣旨を最優先するべきなのですが、実務上の法解釈では、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる内容の遺産分割協議にて手続きをしても良い、ということになっています。
但し、以下の場合には注意が必要です。
①遺言書中に、相続人ではない第三者への遺贈を含む文言が含まれる場合
②遺言書中に、相続人ではない方が、遺言執行者に指定されている場合
上記①は、当該第三者が遺贈の放棄をすれば、遺贈された財産は遺産に復帰するので、前述の通り、遺言内容と異なる遺産分割協議が出来ます。
上記②は、遺言と異なる遺産分割協議に当該遺言執行者の同意があれば、遺言と異なる遺産分割協議が可能となります。
当法人では、遺言の内容を吟味し、遺言と異なる遺産分割協議が可能であるか、将来起こりうる二次相続税を睨み、最良の遺産分割はどうしたら良いかご提案をさせて頂いております。
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