相続のキホン② ~遺産分割協議とは~ (2020.10.20)

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。
今回は、『遺産分割協議』について取り上げていきたいと思います。
ご家族・ご親族のうちで相続が発生した際、亡くなった方(被相続人)の法定相続人を確定し財産調査を終えた後、誰がどの遺産を相続するか、遺産の分け方を決めなければなりません。
これを「遺産分割」と言い、相続人全員が参加して遺産の分け方を決める話し合いを「遺産分割協議」と言います。
民法では、相続人の順位によって法定相続分が定められていますが、相続人全員が合意すれば、民法で決められた法定相続分と異なる分け方をすることもできます。
遺言がなく、相続人が2人以上いる場合、その他に相続分譲渡証明書、特別受益証明書が無い限り、必ずこの協議が必要となります。
法定相続通りに分ける場合でも、どの財産を誰が引き継ぐか、を具体的に決める必要があります。
こうした分割協議において、最終的に合意に至った内容を書面に取りまとめた文書=「遺産分割協議書」を作成し、登記や預貯金の解約、税務申告等に用います。
遺産分割協議書作成の期限は特に決まっていませんが、相続税がかかる場合は、相続税の申告に間に合うよう10ヶ月以内に行う事が通常です。
(実際には相続税申告の手続書類に相応の時間がかかりますので、申告期限の3ヶ月程前には遺産分割を終えておく方が良いでしょう。)
また、相続税がかからない場合でも、相続関係が複雑にならないように、早めに遺産分割協議書を作成する事をお勧めします。
相続人全員で署名・実印で押印し、相続人の人数分作成して各自で保管します。
相続登記や銀行預金の名義変更などで、この協議書と印鑑証明書を併せて提出します。
分割方法には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つの方法がありますが、今回は最もオーソドックスな現物分割をした場合の遺産分割協議書の書き方をご紹介します。
現物分割とは、例えば、不動産は配偶者へ、預貯金は子供全員に均等に、といった具合に、遺産を分割する方法を言います。
書き方として、金融資産は金融機関名・支店名・口座番号等、出来るだけ特定する事をお勧めします。
市役所や都税事務所から届いた固定資産税の通知書に、土地の地番や建物の家屋番号が記載されているので、その地番等を基に法務局にて登記簿謄本を取得できます。
但し、固定資産税の通知書にも記載されていない場合もありますのでご注意ください。
権利証の確認等で、非課税の私道部分の登記漏れを防ぐ為にも、念のため司法書士に助言を受けた方がよいでしょう。
預貯金の金額は、遺産分割協議書に記載してもしなくても、どちらでも構いません。
誰がどの銀行のどの口座を相続するか具体的に記載します。
戸籍上相続人であると判明しているのに、一部の相続人を除いて遺産分割協議書が作成された場合や、相続人ではない人が加わっていた場合など、協議書自体の有効性が争われるケースがあります。
作成について不安が残る方は、是非一度当法人までお気軽にお問合せください。