小規模宅地の減額特例 (2020.10.30)

2.減税の要件
2-1.配偶者が相続する場合
2-2.同居の親族が相続する場合
2-3.『家なき子』が相続する場合
3.その他の要件
3-1.遺産分割協議書が成立している(または遺言書がある)こと
3-2.相続税の申告をすること
ご家庭で相続が発生した際、まず何よりも気になってくるのが相続税の事ではないでしょうか。
実際、相続税の申告は相続発生後、10ヶ月以内と期限がありますし、相続人が複数ですと、誰が何を相続するかでその額も変わってきます。
相続財産には一般的に不動産や預貯金、有価証券などがありますが、その中でも評価額が高くなってくるのが、土地です。
特に都心部では地方に比べて土地の評価額がかなり高く、不動産以外に相続財産がなく、相続税を支払うために自宅を手放さなければならなくなった、なんてこともありえます。
高齢のお子様がいないご夫婦で、残された奥様が大事なご自宅まで手放さなければならなくなった、なんて事になっては気の毒ですよね。
そこで税法ではこのような場合に考慮して、被相続人の自宅敷地を特定の相続人が一定の条件を満たした場合の減税基準を設けています。
被相続人の自宅敷地を、特定の相続人が一定の条件を満たした場合、宅地の330㎡までの部分については、土地の評価額の80%を減額することになっています。
被相続人の自宅の敷地を相続する、という要件さえ満たせば80%の軽減措置を受けることができます。
被相続人の自宅の敷地を相続する場合で、相続税の申告期限まで継続して所有しなければならず、かつ、相続税の申告期限まで継続して居住をしなければなりません。
まず『家なき子』とはどんな人物でしょうか。
その定義としましては、
被相続人に配偶者も同居の親族もいない場合に、
①相続開始前3年以内に、3親等内の親族または特別の関係にある法人が所有する家屋に居住していない者
②相続開始時において居住している家屋を過去に所有していたことがない者
上記①②の要件を満たした者、を指します。
①に関しては、持ち家のある相続人の子(被相続人の孫)に遺言で相続させて、孫が特例を使うといった抜け道を排除するため防止するための要件です。
また、社長が会社所有の社宅に住んでいるようなケースも認められません。
②に関しては、持ち家のある相続人が、被相続人が亡くなる前に自宅を自分の子に贈与して、家なき子になって3年を経過することによって、①の要件を満たそうとするのを防止するための要件です。
家なき子が相続する場合には、被相続人の自宅の敷地を相続する場合で、相続税の申告期限まで継続して所有することが軽減を受けられる要件になります。
適用要件を図にまとめると以下のようになります。
小規模宅地の特例の適用を受けるためには、相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立していることが必要です。
相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立しなかった場合には、小規模宅地の特例は適用できず、法定相続分に沿って相続税を申告し、納付をしなければなりません。
しかし、法定相続分に沿って相続税を申告した場合であっても、申告期限までに申告期限後3年以内の分割見込み書を提出しており、申告期限から3年以内に遺産分割協議が成立すれば、小規模宅地の特例を適用する形で、払いすぎた税金は返還してもらう事が出来ます。
小規模宅地の特例の適用を受けると、結果的に相続税がゼロになる場合であっても、相続税の申告は必要になります。
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介した小規模宅地の特例が絡んだ相談の実例は別のトピックスにてご紹介しておりますので、こちらも併せてご参照ください。
相続税は税理士の専門分野ではありますが、当法人では、相続税法等の周辺知識にも明るい相続専門チームが、業界トップクラスの税理士法人・事務所と共にサポートさせていただいております。
ぜひ一度、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談ください。