遺産分割の方法 (2020.08.28)

相続が開始すると、遺言書がある場合には遺言書どおりに遺産を分ける流れとなりますが、遺言書がない場合には、相続人の話し合いによって遺産の分け方を決定します。
これまでのトピックスで、遺産分割協議について何度か取り上げてきました。
今回は実際に遺産分割する際の方法について、改めて紹介していきたいと思います。
遺産分割の方法には大きく分けて3つの方法があります。
現物分割とは不動産、現金などの財産を「そのままのかたちで相続する」という分割の方法です。
例えば自宅を長男が相続し、預貯金は次男が相続、株式は長女が相続する場合などです。
●手続きが簡単で分かりやすい
現物分割は、基本的に「誰か1人が対象の遺産を引き継ぐ」だけなので手続きが簡単です。
●遺産をそのままの形で相続することができる
被相続人が残した自宅などを、形を変えずに残しておくことができます。
●完全に平等に分けることが難しい
現物分割は、相続人間で不公平になりやすい問題があります。例えば遺産が不動産しかない場合、長男が1人で不動産を取得すると他の相続人は不満を感じるでしょう。
他に車や動産、株式などの財産があっても不動産と比べると価値が低いケースも多々あります。
現物分割では完全に公平に分割するのは困難なケースが多いのです。
換価分割とは、「遺産をいったん売却してその代金を相続人で分ける」という分割の方法です。
例えば、被相続人が所有していた土地と建物を売却し、その売却代金の5,000万円を妻が2,500万円相続し、子二人が1,250万円ずつ相続するという場合です。
●平等に分割することが可能
遺産を売却し金銭にするわけですから、1円単位で平等な分割をすることができます。
●被相続人の遺産をそのままの形で残しておくことができない
亡くなられた方や自分の実家を売却するのは心苦しい、と思う方もいらっしゃるかと思います。
●費用や手間がかかる
遺産をいったん売却するという手続きが入りますので、他の分割方法に比べて費用と時間がかかることがあります。
●相続人に税金がかかることがある
不動産を売却してそれによって利益を得た場合、不動産譲渡所得税という税金が課されます。
代償分割とは、「遺産を一人の相続人が多く取得し、その代わりに遺産を少なく相続した相続人に対して金銭を支払う」という分割の方法です。
例えば、相続財産が5,000万円相当の不動産と預金1,000万円だった場合(相続人は長男と次男)に、「長男が不動産を相続し次男が預金1,000万円を相続した上で、長男は次男に2,000万円の現金を支払う」といった分割方法です。
●遺産をそのままの形で残すことができる
換価分割のように遺産を売却するわけではないので、被相続人の遺産をそのままの形で残しておくことができます。
●代償金を支払う相続人にお金がなければならない
代償金は遺産を相続する相続人が支払わなければなりませんので、その人に支払うお金がなければすることができません。
●後に争いになる可能性がある
代償金を支払うと決めたのに期限になっても支払いをしてくれない、などの理由で争いに発展する可能性もあります。
以上、三つの遺産分割の方法についてご紹介致しました。
いずれかの方法によらなければならないということはなく、それぞれを組み合わせるといった方法も可能です。
遺産分割では相続人間の利害が対立し、争いになるケースもあります。そうならないため、一度専門家に相談することをお勧めします。
当法人では経験豊富な相続専門の司法書士が、税務などの周辺知識も踏まえた上で、最適なコンサルティングをご提供致します。
是非一度、お気軽にご相談ください。