成年後見の申立て手続き (2020.09.29)

親が認知症になってしまい、お金の管理が出来なくなってしまった。あるいは精神的な病気にかかってしまい、持っている投資用マンションの管理が出来なくなってしまった。
その様な場合、以後はご自身で管理をすることができないため、その方の財産管理や身上監護を代理で行う、成年後見人を立てる必要があります。
申立ては家庭裁判所に行っていくのですが、成年後見人就任に至るまでどのような流れになるのかを、今回はご説明したいと思います。
申立てに必要な提出書類は家庭裁判所のホームページからダウンロードする事も出来ますし、家庭裁判所に申し立て書類を取りに行くこともできます。
なお、ご本人の居所・財産状況に応じて、成年後見人が途中で交代する事はありますが、成年後見は一度申立てを行うと、ご本人の管理能力が回復するか、お亡くなりになるまで継続されます。
したがって、特に申立てを行うご親族の方には、後見制度をよく理解して頂く必要があります。
(詳細は、【成年後見制度のメリット・デメリット】 の記事をご参照ください。)
裁判所に書類を取りに行くと、裁判所の職員の方から上記のような説明がされ、申立ての手引き等の説明書もここで渡されることになります。
各書類の細かい説明は別のトピックスでご紹介しますが、成年後見の申立てには様々な書類を提出する必要があります。
・申立事情説明書
・本人事情説明書
・後見人候補者事情説明書
・親族関係図
・親族の意見書(同意書)
・医師の診断書及び診断書付票
・本人確認情報シート
・財産目録
・収支予定表
・相続財産目録
※以上は裁判所にて書式を入手できるものです。
・本人の戸籍謄本
・後見人候補者の戸籍謄本
・本人の住民票(又は戸籍の付票)
・後見人候補者の住民票(戸籍の付票)
・登記されていないことの証明書
・(お持ちの方のみ)療育手帳のコピー
・本人の財産に関する資料
細かい点や、提出書類の書式は各家庭裁判所により異なる場合がありますので、確認が必要になります。
( 裁判所ホームページ『各地の裁判所』 )
書類をそろえたら、申立てを行なうご親族と家庭裁判所の調査官との面談がありますので、家庭裁判所に面談の空き状況照会をし、予約をします。
面談の数日前までに書類の提出を求められることが多いので、その期日までに書類を提出します。手続き上は、この時点で「申立てをした」という扱いになります。
事前に予約した期日に家庭裁判所に出向き、調査官との面談が行われます。
事前に書類を提出しているので、面談を行う調査官は一通り資料に目を通したうえで、面談に臨んでいます。
調査官から、申立を行なった動機や、ご本人の様子、判断能力の状態、他の親族の同意の有無、現在の財産の管理状況等を聴取されます。
面談の結果は、裁判官へと伝えられます。
家庭裁判所が必要と判断した場合、ご本人が後見相当なのかを調査するため、医師による精神鑑定が行われます。
(明らかに後見相当に該当すると判断され、精神鑑定が必要でないと判断された場合には省略されます。)
基本的には診断書を作成した医師により行われますが、当該医師が鑑定を拒否した場合等、家庭裁判所が指定した医師による鑑定が行われることもあります。
その場合、申し立てにかかる期間が1、2か月延びてしまう事もあります。
以上の手続きにて得られた情報を裁判官が総合考慮し、後見開始をするのか、後見人として誰を選任するのかを判断していきます。
裁判官の判断の結果、後見相当とされた場合、誰を後見人に選任するかも含め後見開始の審判が下り、審判書が申立人の親族に送られます。
場合によっては、家庭裁判所の判断により、申し立て時に候補者として書いた親族ではなく、家庭裁判所が適切と判断した専門職(弁護士や司法書士)の者が選任されるケースもあります。
また、ご本人の財産が多い等の理由により、親族を後見人とし、別途専門職の者が後見監督人として選任される場合もあります
審判書を受領し、2週間は異議申し立て(候補者が選任されなかった点等についての異議申し立ては不可)が可能です。
したがって、受領してから2週間を経過すると、後見審判が確定します。
以上が後見申立の一般的な流れになります。事情により変動がありますが、申し立て書類を提出してから2、3か月で、審判まで終わることが多いかと思います。
成年後見の申し立ては、収集する書類が多く、一般的になじみの薄い手続きですので、ご自身で行うのは時間と労力がかなりかかってくると思います。
当法人では、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理、さらに家庭裁判所との連絡も当法人にて致します。
成年後見の申し立て手続きをお考えの方は、司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。