相続のキホン③ ~失踪宣告とは~ (2020.11.12)

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。
行方不明者の生死不明の状況が一定期間継続したとき、その者を死亡したとみなす制度です。
これまでのトピックスで、遺言書がない限り、原則、遺産分割協議には相続人全員の実印と署名が必要となる旨についてはお話してきました。
この原則を忠実に履行しようとすると、困った事態に遭遇してしまうケースがあります。
例えばある家庭で相続が発生したとき、相続人の一人が10年以上前から音信不通であったとします。
所在を探ろうにも戸籍や住民票は当時の現住所のままで、実際にどこに住んでいるか分からず消息不明であったとすれば、その相続手続きはそれ以上先に進めない事になってしまい、他の相続人にとって大変な弊害が生じてしまいますよね。
そこで法律では、一定の要件を満たしたときに限り、その行方不明者を死亡したものとみなす制度=『失踪宣告』を設けました。
失踪宣告によって行方不明者は死亡したとみなされますのでそれによって相続が開始されます。
失踪には普通失踪と特別失踪の2種類に分かれており、それぞれ死亡したとみなされる時期が異なるため、相続開始時期が異なってきます。
行方不明者の生死が7年間不明であるとき、利害関係人の申立によって家庭裁判所は失踪宣言をすることができます。
普通失踪の場合、失踪(行方不明になって)から7年が経過したときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。
特別失踪は震災、戦争、船舶の沈没などによって生死不明となった者が対象とされます。
特別失踪は、危難が去ってから1年間生死不明の場合に、利害関係人の申立によって家庭裁判所が失踪宣告をすることができます。
特別失踪の場合、危難が去ったときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。
失踪宣告は利害関係人が申し立てることができます。
利害関係人とは不在者の配偶者、相続人にあたる者、財産管理人、受遺者などの失踪宣告を求める法律上の利害を有する者をいいます。
不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所に対して申立を行います。
①申立書
②標準的な添付書類
・不在者の戸籍謄本
・不在者の戸籍附票
・失踪を証する資料
※警察署長が発行する家出人届出受理証明書、返送された不在者あての手紙など
・申立人の利害関係を証する資料
※親族であれば戸籍謄本など
当法人では、相続に関する制度について何もご存知でなくても、ご相談時より一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理も致します。
また失踪宣告によって相続が開始しますので、その後の相続手続きまで一連のお手伝いを包括的にご対応することも可能です。
お困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。