相続人以外に財産を残すには?②~包括遺贈~ (2020.11.17)

前回のトピックスでは「特定遺贈」をご説明しましたが、今回は「包括遺贈」についてお伝えします。
包括遺贈とは、財産の全部または割合的一部を包括的に遺贈するもので、例えば、
「財産の全てを与える」や、「全財産の1/4を与える」など、相続分の割合を遺言者が指定します。
「財産のすべてを」であれば貰えるものが明確ですが、上記のような割合が指定された場合、受遺者は具体的に何をもらえるか分かりません。
ですので、他に相続人がいる場合は、その方と「遺産分割協議」を行う必要があります。
包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有することになります。
包括受遺者は、相続財産に対して相続人と遺産の共有状態になるので、債務も承継することになります。
つまり、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も引き継ぐことになります。
もし債権者から返済を請求されたら、応じる義務があります。
ですので、返済したくない場合は、包括遺贈の放棄を行う必要があります。
相続放棄の申立てと同じように、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に放棄の申述が必要となります。
このように相続人と近い地位になるのが包括遺贈の特徴です。
遺言書を作成する場合に、特定遺贈にするか包括遺贈にするかは慎重に検討するべきです。
包括遺贈にしてしまうと、上記のように受遺者には債務も承継されることになります。
また、遺留分についても考慮する必要があります。
兄弟姉妹以外の法定相続人には「遺留分」という最低限相続できる割合が決められています。
そのため、特定の相続人の遺留分を侵害して遺贈してしまうと、遺留分を持った相続人から遺留分侵害額請求権を行使されることがあります。
相続人以外の第3者に贈与する際は、遺言書で遺言執行者を選任していると、手続きがスムーズに進みます。
遺言執行者は、遺言者が亡くなった後に、遺言者の意思が実現するのを見届けてくれる人です。
必ず必要となるわけではありませんが、遺言執行者が選任されていると、相続人に代わって遺贈対象となった相続財産を管理するため、確実に遺贈が行われることになります。
いかがでしたでしょうか。
当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。
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