遺産分割の優先順位 (2020.12.01)

以前のトピックスにて遺産分割の方法について取り上げました。
この中でいくつかの分割方法をご紹介いたしましたが、分割方法にも優先順位があるのをご存知でしょうか?
遺産分割審判(裁判)となった場合、裁判官が選択する遺産分割方法の順番があります。
今回は遺産の分割方法の優先順位についてご説明いたしましす。
通常遺産分割をする際、現物分割が最優先となります。
財産をそのまま(現物)分割するので預貯金や現金などの分割に向いています。
財産の形状や性質を変更することなくそのものを分割する方法です。
例えば分割対象に実家等の不動産があった場合、持分割合によって実際に建物や土地を分けるというのは現実的ではありません。
このように現物分割が不可能な場合、次に代償分割を検討します。
一人の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金として支払う方法です。
ここで注意したいのが、遺産分割協議書で代償分割の記載がないと贈与とみなされ、贈与税を課税されることがあるので注意が必要です。
3番目の分割方法として換価分割が挙げられます。
法定相続分通りに遺産分割しようとした時、不動産の価格によっては相続分がかなりの価格となり、代償分割で代償金を支払うのが困難なこともあります。
このような時に、財産を売るなどして金銭に換えて(換価)分割する方法です。
不動産がある場合に行うことが多いですが、有価証券にも利用できます。
現金化することになるので、公平性を重視する場合にも採用されやすい方法と言えます。
最後の共有は、できれば避けたい方法です。
1つの財産を複数の相続人で持ち分を決めて持ち合う方法となります。
例えば、別荘は皆で使って維持費は折半する、という方法になります。
共有のメリットは、財産をそのまま皆に残せるため公平感がある、ということです。
収益物件なら持ち分に応じて利益を受け取る権利も取得できるため分配が楽である、という面もあります。
共有のデメリットは、財産を個人で自由に変更したり処分したりすることができなくなる、ということです。
また共有者に相続が起こると権利関係が複雑になる、という面もあります。
既に売却が予定されている空き家がある場合等に選択する方法と言えるでしょう。
共有分割した場合には早期に解消する方向で遺産分割をすることが望ましいです。
遺産の分割方法は、それぞれのケースにあわせて考える必要があります。
安易に共有してしまうと将来的に禍根をのこしてしまう場合もありますので、遺産の分割にお悩みの方は、是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。