相続のキホン④ ~配偶者控除とは~ (2021.01.06)

2.配偶者控除の適用要件
2-1.法律上の配偶者である
2-2.相続税の申告期限までに遺産分割が終わっている又は遺言書がある
2-3.相続税の申告をする
3.配偶者控除の注意点
前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。
今回は、『配偶者控除』について取り上げていきたいと思います。
配偶者控除とは、配偶者が相続した財産について「法定相続分」または「1億6000万円」のいずれか高い金額を相続税から控除するという制度です。
相続税の申告を考えると配偶者控除は大きな節税効果のある制度ですが、理解をして利用しなければ、長い目で見た時に税負担が増えてしまうこともあります。
今回はそんな配偶者控除について解説していきます。
例えば被相続人が2億円の財産を残し死亡し、相続人が配偶者と子であった場合、配偶者の法定相続分は2分の1ですので、配偶者は1億円6000万円まで相続しても相続税は課税されません。
また被相続人が残した財産が1億6000万円以内であれば、配偶者がすべて相続しても相続税は課税されないということになります。
(※基礎控除や諸控除がある為、実際の負担税額はケースにより変動します。)
配偶者控除を受けられるのは、法律上の婚姻関係にある方のみです。
つまり、婚姻届を提出していることが要件になります。
内縁関係にある方は法律上の配偶者とならないため、控除が認められない点に注意しましょう。
配偶者控除額は、配偶者が最終的に受け取る金額をもとに計算します。
したがって、遺産をどのくらい受け取るかが明確でなければ申告できません。
相続税の申告期限を迎えるまでに遺言による手続きをするか、無い場合には相続人全員で遺産分割を行い、どの相続人がどのような形で相続するか、を決める必要があります。
配偶者控除を適用すると、相続税が課税されない場合であっても相続税の申告は必要になります。
配偶者控除が節税に効果的だからといって、配偶者にすべてを相続させるとすると後々相続税の問題が生じることになります。
財産をすべて相続した配偶者が亡くなったとき、その配偶者が残した財産に対して相続税がかかる可能性があるからです。
父→母の順番で相続が発生した時の、子どもの立場から考えてみましょう。
子どもにとっては、父が死亡したとき(一次相続)と、母が死亡したとき(二次相続)の2回分の相続税の問題が起きることになります。
ここで、一次相続のときに配偶者控除を最大限利用するために、配偶者により多くの財産を相続させようとすると、その分、配偶者本人が亡くなったときに残る財産が多くなります。
すると、二次相続のときに子どもにかかる相続税が重たくなってしまうのです。
配偶者が相続するときには配偶者控除が使えますが、子が相続するときにはそうした特例はありません。
したがって、一次相続の段階から、二次相続のことも想定して、遺産分割を決める必要があるでしょう。
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