成年後見制度にかかる費用 (2020.12.17)
「成年後見制度」を利用した場合、いくらかかるのでしょうか。
『親が認知症になってしまい今後どうすればいいのかを調べてみると、どうやら「成年後見制度」というものがあるらしいが、いったいいくら必要になるのか、、』とご不安になる方もいらっしゃるかと思います。
そこで、成年後見制度を利用した場合の費用はいくらかかるのか、今回はこちらのテーマを見ていきましょう。
成年後見制度を利用したい場合、まずは家庭裁判所に後見の申立を行います。
ここで裁判所に支払うためにかかってくる費用は、下記のものがあります。
②切手代
③登記手数料
④鑑定費用
収入印紙は、申立のために家庭裁判所に支払う手数料になります。
ここで、後見制度の3類型(後見・保佐・補助)によって費用が異なりますが、各場合の費用は以下のとおりです。
※なお、後見・保佐・補助類型の詳細説明につきましては、別トピックスにてご紹介致します。
「後見」は、同意権が無く(一部の行為を除き、たとえ成年後見人が同意をしたとしても、成年被後見人の単独行為は認められていないため)、かつ包括的に代理権が与えられておりますので、申立に同意権追加付与の申立や代理権付与の申立をセットにすることはできません。
また、補助申立は、同意権追加付与の申立又は代理権付与の申立(あるいは両方)とセットにて申立を行う必要があるため、申立のみはできません。
切手代は、家庭裁判所が申立人や後見人に選任された者に対して審判書等の書類を郵送するために、予め納めておくものになります。
裁判所により異なりますが、約3000円から5000円ほどになります。
後見の申立を行うと、成年被後見人が○○、成年後見人として××がいつ選任されたという内容が「登記」されます(公的機関の記録に登録されるということです)。
手数料として2600円がかかります。登記する費用も事前に家庭裁判所に納める必要があります。
成年後見制度を利用する場合、本人の精神状態が後見相当といえるのか、その状態を鑑定することがあります。
実施するかは家庭裁判所が判断しますが、精神状態の鑑定ですので、医師が鑑定人として状態を調べます。
ここで鑑定人に支払う報酬が5万円~10万円ほどかかってきます。
ただし、実際に鑑定が行われるケースは10件に1件に満たないといわれています。
鑑定を行うか否かにかかわらず、申し立てを行う場合には、医師の診断書を提出する必要があるため、この診断書のみで精神状態が判断できる場合には、さらに鑑定を行う必要が無いと判断されるからです。
申立を行い、家庭裁判所がどう判断するかにかかっていきますので、申立の最初の段階では確定ができませんが、家庭裁判所により鑑定が必要ないと判断された場合には鑑定費用はかかりません。
次に、実際に成年後見人が就任した場合に、後見人に支払う報酬に関してご説明したいと思います。
親の後見申立を行い、息子等のご親族が成年後見人に就任した場合には、基本的に報酬はかかりません。
後見人報酬の支払われ方は、後見人自身で裁判所に対して「こういった業務を後見人として行いましたので、報酬を付与してください」(報酬付与申立)ということを申告し、これに対して家庭裁判所が「被後見人の財産から後見人に対して○○万円の報酬を与える」との審判により、被後見人の財産から後見人が報酬を得ることになります。
つまり後見人が家庭裁判所に対してこの申し立てを行わない限り、後見人に報酬は生じないということになります。
したがって、親族等が後見人に就任した場合、報酬付与申立を行わない限り、報酬は発生しないということです。
しかし、後見人に親族以外の専門家(司法書士や弁護士等)が就任した場合には、報酬付与の申立を行うのが通常です。報酬額は、基本的に管理する財産の量に比例します。
報酬額は管轄の裁判所によっても変わってきますが、東京家庭裁判所管内ですと基本報酬が月額約2万円、管理する財産が1000万円から5000万円ですと約3、4万円、5000万円以上ですと約5、6万円とされています。
また、その他被後見人のためにした通常業務の範囲を超える行為(例えば管理している不動産の売却や、被後見人を含む遺産分割協議、保険金請求等)を行うと、家庭裁判所がこれを考慮して付加報酬を与える場合もあります。
当法人では、成年後見制度の詳細なご説明をさせていただき、制度の最適な利用方法のご提案をさせていただきます。
疑問点などございましたら、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、是非一度お気軽にご相談ください。