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相続のキホン⑤ ~戸籍の読み方~ (2021.02.10)

相続のキホン⑤

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『戸籍の読み方』について取り上げていきたいと思います。

≪目次≫
戸籍の読み方
平成6年式戸籍
②昭和23年式戸籍
③大正4年式戸籍
④明治31年式戸籍
⑤明治19年式戸籍

 

相続手続きでは、相続人を確定させるため戸籍の取得が必要となります。

公正証書遺言がない場合では、状況により亡くなった方の父母の出生まで遡って戸籍を取得する必要がありますが、戸籍の書式は時代とともに変化しており、その戸籍がどの時期(いつからいつまで)のものであるかを読み取ることは容易ではありません

今回は、戸籍について、年式別の種類を説明するとともに、取得した戸籍がどの時期にあたるものかを確認する方法を紹介したいと思います。

 

①平成6年式戸籍

2021年現在の戸籍は、平成6年式戸籍といわれる書式です。

コンピュータ化されている書式で、他の年式が縦書きであるのに対し、横書きの書式となっています。

 

<時期の確認方法>

●戸籍事項(当該戸籍の情報)
当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかが記録されています。

(最新の戸籍である場合は「いつまで」は書かれていません)

●戸籍に記載されている者

この欄には、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

この欄に「除籍」となっている方の除籍理由が「死亡」となっている場合は、その者にとっての死亡時の戸籍となります

また、「除籍」となっていない場合は、その者にとって最新の戸籍となります

 

②昭和23年式戸籍

昭和23年式戸籍は、平成6年式戸籍と同様に、昭和22年の民法改正に従って作成された書式です。

よって戸籍事項、戸籍にされている人の記載は平成6年式戸籍と同様です。

ただし、コンピュータ化前の書式となっているため縦書きとなっており、数字が「壱」「弐」「参」「拾」といった漢数字となっています。

 

<時期の確認方法>

●本籍欄の右側欄外(横)

本籍欄の右側欄外に「平成六年法務省法令第五十一号附則第二条第一項による改製につき平成〇〇年〇月〇日削除」と記載されていることがあります。

この場合、コンピュータ化により平成6年式戸籍が作成されていることになるので、この戸籍は改製までの戸籍(改製原戸籍)として扱うことになります。

●戸籍事項(当該戸籍の情報)

本籍欄の左側が戸籍事項です。当該戸籍がいつ編製され、いつまでの戸籍であるかが記載されています。

ただし、上述の通り、コンピュータ化に伴い削除されている場合、当該戸籍の終わりは欄外に記載されています。

●戸籍内の者ごとの情報

戸籍事項につづいて左側に、戸籍内の人ごとの情報が記載されています。

「昭和〇〇年〇月〇日□□で出生父△△届出同日受附入籍」「平成〇年〇月〇日△と婚姻届出同月〇日□□市長から送付同区△に夫の死の新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

③大正4年式戸籍

大正4年式戸籍は、比較的記載内容が多い戸籍です。

まず、それまでの「家制度」により、孫など三代以上の者も記載されている場合があります。

また、戸籍作成時にそれまであった戸籍の記載事項をすべて記載していたため、編製事由(当該戸籍の期間を示す記載。「〇年〇月〇日〇〇改製」等と記載)が複数ある場合があります。

編製事由が複数記載されていた場合は、最も現在に近いものが、当該戸籍のはじまりとなります。

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

通常本籍のすぐ左側に戸主の事項が記載されています。ここには戸主の事項だけでなく当該戸籍の情報も記載されています

当該戸籍がいつからいつまでの戸籍なのかはこの欄に記載されています。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項につづいて左側に、戸籍内の者ごとの情報が記載されています。

「本籍に於て出生父△届出昭和〇〇年〇月〇日受付入籍」「△と婚姻夫の氏を称する旨昭和〇〇年〇月〇日受附□□に新戸籍編製につき削除」(例)といった形で記載されています。

 

④明治31年式戸籍

明治31年式戸籍は、「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があることが特徴です。

1枚目の表には2人、裏には3人、2枚目以降は、すべて3人ずつ記載できるような様式になってます。

 

<時期の確認方法>

●戸主ト為リタル原因及ヒ年月日(当該戸籍の情報)

一枚目に「戸主ト為リタル原因及ヒ年月日」という欄があり、「父△死亡に因り大正〇年〇月〇日戸主と為る同日届出同日受附」(例)といった形で記載されています。

この日付が当該戸籍のはじまりとなることが多いです。

●戸主を含む戸籍内の者の事項

本籍の左側に、戸主から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

当該戸籍の終わりは戸主の事項に「□□に転籍届出大正〇年〇月〇日〇〇市長受附同月〇日送付全戸除籍」(例)といった形で記載されています。

 

⑤明治19年式戸籍

明治19年式戸籍は、2021年現在閲覧可能な最古の年式となります。

この戸籍には一部空白がありますが、これは「族称欄」と呼ばれる「士族」「平民」といった記載があった場所ですが、身分差別廃止の観点から現在では白く塗られており、白く塗られている部分の記載が読み取れなくても問題はありません

 

<時期の確認方法>

●戸主の事項(当該戸籍の情報)

本籍の左側に、戸主の事項が記載されています。

戸主の事項内に、当該戸籍がいつまでの戸籍なのかは記載されていますが、いつからの戸籍となるかは記載されていない場合があります。

●戸籍内の者の事項

戸主の事項から順に戸籍内の者の事項が記載されています。

それぞれの者にとっていつまでの戸籍となるかが記載されています。

 

コンピュータ化以前の内容は手書きで書かれており、記載内容が判読しにくいものもあります。

また、記載内容を正しく読み取って対応しないと、思わぬトラブルになる可能性があります。

必要な戸籍の代理取得を含め、ご検討の方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

そもそも成年後見制度とは何か?制度の概要と後見人の義務とは (2021.01.20)

 

 

 

≪目次≫
1.成年後見制度の概要
 ◆どんな時に困るのか
2.制度内容
3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

 

1.成年後見制度の概要

日本は高齢化社会になった、と言われて久しい今日、平均寿命の増加によって認知症になるリスクは年々増加しています。

自分(の親)は大丈夫、とは決して言えない時代になってきています。

しかし実際に認知症になってしまった場合、具体的に何に困ってくるのか、それをどのようにカバーしていったらいいかを正確に理解されている方はまだまだ少ないと思います。

そこで今回は改めて、認知症等により判断力が低下した場合の制度成年後見制度とはどのようなものなのか、について基本的なところをご説明したいと思います。

 

≪どんな時に困るのか≫

認知症になってしまった場合、どのような場合に困ってくるかについて詳細は、以前のトピックス【そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合】にてご紹介しましたのでそちらに譲らせていただきますが、大まかに挙げると下記のような場合が考えられます。

●認知症になってしまった場合、たとえ息子(娘)であっても、銀行から預金が下せない

●認知症になった方が老人ホームや高齢者施設に入居しようとしても、入居契約ができない

●亡夫の資産を相続しているが、相続人間で遺産分割協議が整わないうちに認知症になってしまった場合、相続手続きを確定的に行うことができない

●認知症になってしまったので、グループホームに入りたいが、入居資金が足りない。持ち家を売却すれば資金を用意できるが、認知症のため売買契約を締結することができない

●認知症の親が不要な契約をしてしまったとしても、契約を息子等が取り消すことはできない


では、認知症になってしまった場合、これらを解決するために成年後見制度を使うとどうなるのでしょうか。

 

2.制度内容

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害等の理由で判断能力が低下してしまった方の代わりに財産管理を行ったり、生活や医療等に関する手続き(契約等)を行ったりすることで、判断能力が低下してしまった方の権利や生活を守る制度です

成年後見人は法律上の代理権を持ち、例えば以下のようなことを行うことができます。

●本人の銀行口座の通帳及びキャッシュカードを管理し、本人のために預金を引出し、月々の光熱費や家賃の支払い等を行うことができます

●本人に代わって、介護老人施設を探して、入所(入居)契約を締結することができます。

●親や配偶者から相続したが相続人間で未分割の相続財産について、本人に代わって遺産分割協議を行い、確定的に本人の名義に変更手続きすることができます。

●本人に代わって所有不動産を売却し、施設入居の資金に充てることができます。

●本人がした不要な売買契約や工事請負契約を取り消すことができます。

 

成年後見人は、家庭裁判所を通じて選任されるという厳格な手続きを要求しているため、その分強力な権限が与えられているのです。

但し、成年後見人はあくまで認知症等により判断能力が低下してしまった方(被後見人)のための制度になりますので、成年後見人自身の利益ために被後見人の財産を浪費したり、財産を無駄に支出したりして、被後見人の財産を侵害することはあってはいけません。

そこで、被後見人の財産を守るために、成年後見人に対しては家庭裁判所が監督することになります。

 

3.家庭裁判所が後見人に定めた義務

管理している財産は何で、どのように管理しているかを把握するため、一年に一度、報告書の提出を求められます

具体的には、管理財産把握のための財産目録を毎年作成し提出します。

また、被後見人の預金や現金に変動(入出金)がある場合、領収書や請求書にて、何にいくら使ったのか、いくら何の資金が入金したのか等の収支報告書を作成、領収書等を添付して提出します

成年後見人は法律上「善管注意義務」(善良なる管理者としての注意義務)を負い、高度な注意義務が課されており、これに違反する管理を行った場合、解任されたり、損害賠償請求される恐れもあります

このように、認知症等により判断能力が低下した場合、成年後見制度を利用することで、成年後見人が代理で財産管理や契約行為を行い、不都合を解消することができるのです。

 


当法人では、制度について何もご存知なくても、一から丁寧にご説明させて頂きまして、お困りごとを解決する方法をご提案させていただきます。

認知症等によってお困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

遺言で出来ない事を実現する『死後事務委任契約』の活用方法 (2021.01.13)

死後事務委任契約の活用方法

 

 

 

 

≪目次≫

1.『死後事務委任契約』とは?

2.死後事務委任契約におけるポイント

死後事務の内容

死後事務委任の相手

受任者への連絡

報酬と費用の支払い

事前準備のススメ

3.まとめ

 

1.『死後事務委任契約』とは?

よく、「遺言書を作って葬儀のことを決めておきたい」という話を耳にするのですが、実は遺言書では、財産に関する事項にしか法的拘束力がありません

例えば「私の遺骨は海に散骨してほしい」と遺書に書いても、ご遺族が「自分のお墓に納骨したい」と決めたら、その点に関して法的拘束力がない以上、ご親族の意思の方が強くなることになります。

また、官公庁への各種届出を伴う手続き以外にも、近年ではSNSでの死亡の告知などといった事務手続きも課題になっています。

これら故人の遺志通りに進めることができる方法として、主に遺言書のオプションとして活用されている死後事務委任という契約があります

今回は死後事務委任について説明するとともに、ポイントを整理したいと思います。

 

 

2.死後事務委任契約におけるポイント

①死後事務の内容

死後事務委任では、さまざまな手続き等を委任することができます。

下記の例以外の内容も委任することが可能ですし、下記の内容のうち一部のみを委任することも可能です。

◆死後事務委任内容(の例)◆

□死亡診断書・死体検案書の受取り
□役所への死亡届の提出
□病院等の退院手続きと精算
□葬儀・火葬に関する手続き
□埋骨・散骨等に関する手続き
□お墓に関する手続き
□相続財産管理人の選任申立手続きに関する事務
□賃貸住宅料の支払いと物件引渡しまでの処理
□遺品整理
□健康保険・運転免許・パスポート・各種資格等の返却等手続き
□公共料金・住民税等の支払手続き
□クレジットカード・電子決済サービス等の精算・解約手続き
□SNS等インターネットサービスの死亡告知・残置・消去・解約等の手続き  等

 

②死後事務委任の相手

死後事務委任契約の相手は、自由に選ぶことができますので、知人・友人などでも受任することが可能です。

ただし、委任した事務が実施されるのは自分の死後となるので、委任したとおりに実行してくれているか確認することができない、という点に注意が必要です

信頼のおける人であるとともに、手続き等を間違いなく実施できる人を選ぶべきでしょう。

手続きの中には慣れていないと難しいものもあります。時には受任者が自分の手に負えず、わざわざ費用を払って専門家に依頼して実施した、という例もありますので、友人・知人に負担がかからないよう、専門家に委任することをオススメします。

 

③受任者への連絡

死後事務委任契約を結ぶ場合、死後事務を実施する受任者は、委任者が亡くなったら即座に対応しなければならないため、委任者が元気でいるかどうかを知っている必要があります

このため、特に受任者が独り身である場合などには、死後事務委任契約と併せて「見守り契約」といって、本人と定期的に連絡して状態を確認する契約をセットで契約することが一般的です。

 

④報酬と費用の支払い

死後事務委任の報酬に決まりはありません。

専門家に依頼した場合、専門家が提示する金額によりますので、内容等をふまえ検討が必要です。

かといって、高いから安心というようなことはありません。

状況を適切に理解して委任した通りに実行してもらえるかどうか、という点では、専門家であれ友人であれ、信頼できる方を選ぶことが重要になるでしょう。

友人に委任する場合、念のため公正証書(1通概ね11,000円+正本謄本料3,000円程度)を作成することで委任を証明することができます。

専門家に依頼した場合、法的には死後事務委任を単独で委任することも可能ですが、実務上では遺言書のオプションとしてまとめることが多いようです

また費用に関してですが、報酬以外に実際の手続費用が必要となります。

あらかじめ概算費用を見積りしてもらい、報酬とともに信用度を検討されることをお勧めします。

なお、死後発生する費用の支払いについては、遺産から支払う方法と、予め預託しておく方法があります。

預託については信託会社に預ける方法もありますが、死亡するまで信託手数料を払い続けねばならないなどのデメリットがあります。

 

⑤事前準備のススメ

死後事務委任契約を行うにあたっては、死後実施すべき手続きがどれくらいあるかを把握し、事前に少しづつでも準備されることをオススメします。

例えばお墓・仏壇の片付けがある場合は、「閉眼供養」「永代供養移設料」などと称して不要な費用が発生する場合があります。

インターネット上での手続きに必要なアカウント情報や消去・残置方法なども整理しておくと良いでしょう。

銀行の口座解約には出生から死亡までの連続した戸籍謄本等が必要となります。

無駄な費用をかけないためにも、生前に整理しておくことをオススメします。

ただし、もちろん、生きているうちに必要なものを無理に処分したり、諦めたりする必要はありません。

 

3.まとめ

 

・葬儀、住居の片づけやインターネット上の手続き方法を決めておくには、遺言書の他に「死後事務委任契約」が必要。

・手続きの中には、慣れていないと難しいものがあるので注意が必要。

死後事務は死後即座に行う必要があるため、「見守り契約」とセットで契約することが一般的

・受任者への報酬の他に発生する費用は、遺産から支払う他に、予め預託しておくことが可能

・できるだけ生前に整理しておく。ただし無理のない範囲で。

 

死後事務委託は、それぞれのケースによりさまざまな手続きがあります。安易に委任してしまうと、受任者に負担をかけてしまったり、故人の遺志を実現出来ないといった結果になっては元も子もありません。

ご検討の方は是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談ください。

 

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会社の代表取締役が認知症になってしまった場合の手続き (2020.12.03)

 

 

日本の高齢者人口は増え続けていて、その点は会社の経営者についても例外ではありません。

経営者が認知症になってしまうと、経営の判断の質が低下したり、言動から取引先の信用が低下してしまう、などの弊害が生じます。

場合によっては経営者の意思能力が無いと主張され、契約の効力を争ってくる可能性もあります。

このような場合、他の取締役等は、どのように手続きをしていくべきなのでしょうか。今回はこちらのテーマで書かせていただきたいと思います。

 

 

≪こんな場合、どうする?≫

 

 

A株式会社の代表取締役はB、取締役はBの息子であるCが登記されています。

普段からBは、「近頃物忘れがひどくなってきたので、会社の経営は息子であるCに任せている」旨を、取引先にも公言していました。

しかし、代表取締役はBの状態のまま、Bの認知症が悪化してしまいました。

 

この場合Cはどうしたらいいでしょうか。

 

 

①代表取締役Bを解任する

まず考えていくのが、このままですと会社経営にリスクがありますので、代表取締役Bを解任する手続きを取っていくことが考えられます

株主総会にて「取締役」Bの解任(代表取締役資格は自動的に失う)をしていくか、仮に取締役会を置いている会社でしたら、取締役会にて「代表取締役」の資格のみ先に解任することも可能です。

しかし、取締役会にて取締役の意見が一致しない可能性もあります。

また、株主総会においても、中小企業などの場合、株式の大多数を代表取締役が持っていることも多いため、代表取締役であるBが議決権を行使した多数の票に意思能力の問題が残り、後になって株主総会の決議自体の効力が争われてしまう恐れがあります

 

 

②法定後見制度を使う

上記①のような手続きには、不確定的部分がどうしても生じてしまします。

また、仮に経営する会社関係の問題をクリアしたとしても、その他の私生活においての問題が残ります。

預貯金が下せなかったり、不動産の売却や、施設の入所契約ができない等の問題は解決されません。

そこで、Bについて成年後見の申立を行うという方法が考えられます。

CはBの息子ですので、成年後見の申立を行うことができます。

代表取締役が成年被後見人となった場合には、取締役としての資格を自動的に失います(会社法331条の取締役欠格事由)ので、上記①で述べた手続きが確定的なものとなります

その後は、後見人に選任された者が、Bに代わって議決権を行使し、新たな代表取締役を選定していくことになります。

 

取締役会を置く会社では、Bを除く構成員による取締役会によって、新代表取締役を選定していくことになります。

また、必要に応じて株式の譲渡等を行い、経営権を承継していくことになります。

しかし、後見人に選任される者は、経営のプロではありませんので、適切な取締役を選ぶことができるとは限りません

また、後継者について社内に争いがある場合には、正式な代表者が定められない状態が続いてしまうリスクは依然として残ってしまいます。

 

 

③任意後見制度を使う

法定後見制度は、認知症になってしまった場合の制度ですので、既に認知症を発症してしまうと、法定後見制度を利用する以外の方法が無くなってしまいます

今回取り上げた例のように認知症が悪化してしまう前に、起こりうることに備えて他の方法によって準備することはできます。

例えば暦年贈与によって株式を後継者に移譲しておく民事信託の契約をしておき、後継者を決めておく等も考えられますが、任意後見契約を結んでおくという方法もご紹介できればと思います。

 

任意後見契約では、まだ本人に意思能力があるうちに、認知症になってしまった場合に備えて、信頼できる者を後見人に指名し、予め契約を結んでおきます

本人が認知症になってしまった場合は、後見監督人のもとで、後見人が本人の代わりに権利を行使し、適切な取締役を選任することになります

 


認知症はいつ発症するかわかりません。そして、発症してしまうと取りうる手段が限られてきてしまいます。

備えられるうちに、できるだけ早めに対策を講じておくことで、安心して経営できる状態を作っておくことが望ましいといえます。

司法書士法人鴨宮パートナーズでは、様々な制度を選択肢として検討し、ご本人の状態等も考慮しながら、最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

このようなお困りごとがございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

遺産分割の優先順位 (2020.12.01)

 

 

 

 

≪目次≫
遺産分割の優先順位
1.現物分割
2.代償分割
3.換価分割
4.共有

以前のトピックスにて遺産分割の方法について取り上げました。

⇒【遺産分割の方法】

この中でいくつかの分割方法をご紹介いたしましたが、分割方法にも優先順位があるのをご存知でしょうか?

遺産分割審判(裁判)となった場合、裁判官が選択する遺産分割方法の順番があります

今回は遺産の分割方法の優先順位についてご説明いたしましす。

 

第1順位:現物分割

通常遺産分割をする際、現物分割が最優先となります。

財産をそのまま(現物)分割するので預貯金や現金などの分割に向いています。

財産の形状や性質を変更することなくそのものを分割する方法です

 

第2順位:代償分割

例えば分割対象に実家等の不動産があった場合、持分割合によって実際に建物や土地を分けるというのは現実的ではありません。

このように現物分割が不可能な場合、次に代償分割を検討します。

一人の相続人が財産を取得し、他の相続人に代償金として支払う方法です

ここで注意したいのが、遺産分割協議書で代償分割の記載がないと贈与とみなされ、贈与税を課税されることがあるので注意が必要です。

 

第3順位:換価分割

3番目の分割方法として換価分割が挙げられます。

法定相続分通りに遺産分割しようとした時、不動産の価格によっては相続分がかなりの価格となり、代償分割で代償金を支払うのが困難なこともあります。

このような時に、財産を売るなどして金銭に換えて(換価)分割する方法です

不動産がある場合に行うことが多いですが、有価証券にも利用できます

現金化することになるので、公平性を重視する場合にも採用されやすい方法と言えます

 

第4順位:共有

最後の共有は、できれば避けたい方法です。

1つの財産を複数の相続人で持ち分を決めて持ち合う方法となります。

例えば、別荘は皆で使って維持費は折半する、という方法になります。

共有のメリットは、財産をそのまま皆に残せるため公平感がある、ということです。

収益物件なら持ち分に応じて利益を受け取る権利も取得できるため分配が楽である、という面もあります

共有のデメリットは、財産を個人で自由に変更したり処分したりすることができなくなる、ということです

また共有者に相続が起こると権利関係が複雑になる、という面もあります。

既に売却が予定されている空き家がある場合等に選択する方法と言えるでしょう。

共有分割した場合には早期に解消する方向で遺産分割をすることが望ましいです

 


遺産の分割方法は、それぞれのケースにあわせて考える必要があります。

安易に共有してしまうと将来的に禍根をのこしてしまう場合もありますので、遺産の分割にお悩みの方は、是非一度、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズまでお気軽にご相談ください。

 

お気軽にご相談ください。

そのまま手続きできる?後見人を立てなければならない場合 (2020.11.19)

 

 

≪目次≫

後見人を立てなければならないケース

ケース①:銀行から預金を下ろしたい

ケース②:老人ホームに入居したい

ケース③:相続手続きをしたい

ケース④:騙されてしてしまった契約を取り消したい

 

認知症になってしまった事で、銀行や施設との手続関係において、今までできていたことができなくなった(拒否された)、というご相談をよくいただきます。

どのような場合に拒否される(可能性がある)のかを把握しておくと、事前に備えることもできるかと思います。

そこで今回は、後見人を立てないと手続きができなくなる場合を、例を交えてケース毎にご紹介していきたいと思います。

 

ケース①:銀行から預金を下ろしたい

 

Aさんには認知症の夫Bさんがいます。Bさんは今まで何とか銀行に出向いて、生活のための預金を下ろせていましたが、最近夫の認知症が進行していることを心配し、Aさんが代わりに預金を下ろしに行ってあげたいと考えました。

ある日Aさんは、生活費のためBさんの預金口座から預金を下ろし、日用品の購入や公共料金の支払い等をしようと、銀行に行きました。

しかし、「Bさんは認知症のようですので、預金の引き出しはできません。」と言われてしまいました。

Aさんにとっては、自分と夫の老後のために資金として貯めておいた口座から預金を引き落とすことができず、生活費が支払えなくなりました。

 

上記のような状態になってしまうと、Aさんの生活自体も危うくなってしまいます。

すぐに成年後見人を付けて(もしくは自分が後見人となり)預金を下ろしたいところですが、後見申立てにはおよそ2~3ヶ月の申立期間がかかってしまいます

認知症になる前に、任意後見契約財産管理等契約(詳しい説明は別のトピックスにて掲載致します)を結んでおいて、このような事態に陥らないよう、事前の予防策を講じることが大切です。

 

ケース②:老人ホームに入居したい

 

軽度の認知症にかかっているが、老人ホームに入居したいと考えていたAさんは、夫がすでに死亡しており、子供はいません。弟がいますが、住居は遠方で疎遠となり、連絡先も知りません。

このような場合に施設を探していましたが、施設入居の条件に「身元保証人が必要」と言われてしまいました。

しかし、親族は連絡先のわからない弟しかおらず、入居することができません。

 

この場合には、たとえ成年後見人を立てたとしても、成年後見人は身元保証人にはなれませんので、成年後見人を立てれば入居できるとは限りません

しかし、施設によっては「身元保証人が立てられないのであれば、成年後見人を立ててください」というところもありますので、まずは施設に確認し、成年後見申立を行いましょう

成年後見人がいることは、施設側にとっても安心になるようです。

 

ケース③:相続手続きをしたい

 

認知症のAさんの夫Bさんは、先日他界してしまいました。息子のCさんは、Bさんの相続手続きをしようと考え、不動産の名義書き換え、預金の解約を進めようとしました。

ところが、不動産名義の書き換えのために相続登記を司法書士に依頼したけれど、Aさんに認知症の疑いがあるとのことで断られてしまいました。

預金の解約に行った銀行からも同じように断られてしまい、結局このままでは手続きができません。

 

 

相続人の中に認知症の方がいる場合には、基本的に相続手続きをすることはできません。

この場合には成年後見人を立て、成年後見人と他の相続人とで遺産分割協議をすることで、相続による不動産名義書き換えや、預金の解約手続きを行っていくことになります。

上記の例で仮にCさんが成年後見人に就任した場合には、Cさんは、Bさんの相続人であるAさんの後見人の立場と、自身のBさんの相続人の立場と二重になり手続きが出来ませんので(このような状況を利益相反といいます)、遺産分割協議のために特別代理人の選任申立を行っていくことになります

Aさんの成年後見人はCさんで変わりないのですが、今回の遺産分割に限って、成年後見人Cさんの特別代理人が、Cさんと一緒に遺産分割を行っていくことになります。

 

ケース④:騙されてしてしまった契約を取り消したい

 

認知症の父Aさんは、妻Bさんに先立たれて一人暮らしをしていて、遠方ですが息子Cさんがいます。

Cさんは月1回くらいのペースでAさんの様子を見に行っていましたが、行くたびに見知らぬ商品が増えていっていました。

CさんがAさんに聞くと、親切な方が置いて行ってくれていると言っていました。

しかし契約書のようなものが見つかり読んでみると、高額な商品を購入するというもので驚いてしまいました。

 

 

CさんがAさんの息子だとしても、このままではAさんのした行為を直接取り消すことはできません

この場合、成年後見人を立てることで、成年後見人がAさんのした行為を取り消して解決することができます

近年の高齢者を狙ったオレオレ詐欺や振り込め詐欺などの特殊詐欺の被害は、残念ながら一向に減りません。

認知症になった場合には、このような詐欺被害から本人を守る意味でも、成年後見を検討していくことが望ましいと考えます。

 


いかがでしたでしょうか。司法書士法人鴨宮パートナーズでは、後見人を立てる必要性等も考慮しながら、最適な利用方法のご提案をさせていただきます。

少しでも疑問点ございましたら、是非一度お気軽にご相談ください。

 

 

お気軽にご相談ください。

相続のキホン③ ~失踪宣告とは~ (2020.11.12)

相続のキホン③~失踪宣告とは~

 

 

 

≪目次≫
1.『失踪宣告』とは?
1-1.普通失踪
1-2.特別失踪
2.失踪宣告の申立人
3.申立先
4.必要書類

 

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『失踪宣告』について取り上げていきたいと思います。

 

1.『失踪宣告』とは?

行方不明者の生死不明の状況が一定期間継続したとき、その者を死亡したとみなす制度です。

これまでのトピックスで、遺言書がない限り、原則、遺産分割協議には相続人全員の実印と署名が必要となる旨についてはお話してきました。

この原則を忠実に履行しようとすると、困った事態に遭遇してしまうケースがあります。

例えばある家庭で相続が発生したとき、相続人の一人が10年以上前から音信不通であったとします。

所在を探ろうにも戸籍や住民票は当時の現住所のままで、実際にどこに住んでいるか分からず消息不明であったとすれば、その相続手続きはそれ以上先に進めない事になってしまい、他の相続人にとって大変な弊害が生じてしまいますよね。

 

 

そこで法律では、一定の要件を満たしたときに限り、その行方不明者を死亡したものとみなす制度=『失踪宣告』を設けました。

失踪宣告によって行方不明者は死亡したとみなされますのでそれによって相続が開始されます

失踪には普通失踪特別失踪の2種類に分かれており、それぞれ死亡したとみなされる時期が異なるため、相続開始時期が異なってきます

 

1-1.普通失踪

行方不明者の生死が7年間不明であるとき、利害関係人の申立によって家庭裁判所は失踪宣言をすることができます。

普通失踪の場合、失踪(行方不明になって)から7年が経過したときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります

 

1-2.特別失踪

特別失踪は震災戦争船舶の沈没などによって生死不明となった者が対象とされます。

特別失踪は、危難が去ってから1年間生死不明の場合に、利害関係人の申立によって家庭裁判所が失踪宣告をすることができます

特別失踪の場合、危難が去ったときに死亡したとみなされ、その日が相続開始日となります。

 

2.失踪宣告の申立人

失踪宣告は利害関係人が申し立てることができます。

利害関係人とは不在者の配偶者相続人にあたる者財産管理人受遺者などの失踪宣告を求める法律上の利害を有する者をいいます。

 

3.申立先

不在者の従来の住所地又は居所地の家庭裁判所に対して申立を行います。

 

4.必要書類

 

①申立書

②標準的な添付書類
・不在者の戸籍謄本
・不在者の戸籍附票
・失踪を証する資料
※警察署長が発行する家出人届出受理証明書、返送された不在者あての手紙など
・申立人の利害関係を証する資料
※親族であれば戸籍謄本など

 

 


当法人では、相続に関する制度について何もご存知でなくても、ご相談時より一から丁寧にご説明させて頂きまして、書類の収集代理・提出書類の記入代理も致します。

また失踪宣告によって相続が開始しますので、その後の相続手続きまで一連のお手伝いを包括的にご対応することも可能です。

お困りの方は、目黒区学芸大学駅の司法書士法人鴨宮パートナーズにお気軽にご相談下さい。

 

 

お気軽にご相談ください。

遺言書に記載すべき特記事項 (2020.10.27)

遺言書に記載すべき特記事項

 

 

 

≪目次≫

1.遺言執行者の指定

2.予備的遺言(補充遺言)

3.相続させる文言への読みかえ規定

4.負担

5.付言事項

これまでのトピックスで、遺言に関わるトピックスを多数掲載してきました。

⇒遺言に関するトピックスはこちら

今回は、遺言(自筆証書・公正証書共通)に入れた方が良い文言をご紹介したいと思います。

 

相続人に相続させる、または、相続人以外であれば遺贈するとの文言を使い、誰にどの財産をあげたいかを特定すれば、それで立派な遺言が完成します。

しかし、相続専門の司法書士であれば、実際の手続きを想定して以下のような文言を入れるべきか検討し、提案をしていきます。

それでは、1から順に見ていきましょう。

 

1.遺言執行者の指定

銀行預金の解約等で、遺言執行者を指定しておいた方が、確実に手続きがスムーズに進みます。

実務的な話ですが、銀行は遺言があっても、相続人同士のトラブルに巻き込まれることを恐れます。が、この遺言執行者が指定されており、当該遺言執行者が預金解約の手続きをすると、難なく審査をパスすることが多いと言えます。

また、不動産の名義変更に論点を絞っても、この遺言執行者が登場するだけで、手続きは簡易に進みます。

 

2.予備的遺言(補充遺言)

例えば、父が長男に全ての財産を相続させる遺言を残したとしましょう。

ところが、父がなくなる前にその長男が死亡。長男には子が二人います。

長男の子二人は遺言にしたがって、遺言者の長男が相続すべき財産を承継取得するでしょうか?

答えは、、、

NOです。

 

この場合、長男の子は当然に代襲相続するわけではなく、遺言は無効となってしまいます。

長男の子は代襲相続人とはなりますが、他の法定相続人との遺産分割協議がまとまらない限り、遺言内容どおりの全ての財産を相続する事は出来ません

このような事態に備え、相続専門の司法書士であれば、遺言の内容を以下のように工夫します。

『遺言者の財産全てを長男に相続させる。もし、長男が遺言者の死亡以前に死亡した場合は、長男の子であるABに均等割合にて相続させる。』

上記の『もし~』以降の部分が、予備的遺言補充遺言と言われる文言です。

もちろん、遺言者のご意志が一番重要なので、この文言を入れるか否かは遺言者と一緒に検討していく必要があります。

 

3.相続させる文言への読みかえ規定

こちらは特に不動産の名義変更に直結した文言と言えますが、例えば、遺言者が孫にA不動産を遺贈するとの遺言を残したとします。

遺言者には孫の上の世代に長男がいましたが、孫が可愛すぎて上記のような遺言を残したと仮定して下さい。

孫は上の世代がいる以上、相続人とはなり得ないので遺贈との文言を用いることになります。

相続させるでも遺言でも同じ意味ですが、いざ手続きとなると全く変わってしまいます。

相続人へ相続させる』文言であれば、他の相続人の協力なくして不動産の名義変更が出来ますが、遺贈という文言が使われている以上、遺言執行者が指定されていない限り、不動産の名義変更には相続人全員の実印と印鑑証明書が必要となります

では、上記の事例で孫が不動産の名義を遺言によって変更する際、孫の父(遺言者の長男)が死亡して、相続人の地位を得ているとしたら、とうなるでしょう?

この場合、

『もし遺言の効力発生時に、受遺者◯◯が相続人の地位を得ていた場合、『遺贈する」の文言を「相続させる」と読み換えるものとする。』

といったように、『相続させる』文言への読みかえ規定が明記されていれば、他の相続人の協力を得ることなく単独で登記申請をする事が出来ます

逆にこの文言が無い事で、他の相続人全員の協力を仰がなければならない、といった事態も、手続きを想定して遺言を書いていない事で起こり得ます。

 

4.負担

皆様は負担ときいて何を連想しますか?

例えば、「会社内で自分にばかり重い仕事が降りかかってきて、負担に感じるなあ。」など、このようなときに使われている気がします。

負担とは、法律上は、法律行為の附款と定義されており、いわば条件のようなものです。
(遺言に条件という文言を入れると、実務上、遺言執行がかなり煩雑になるので、この負担という文言を用います。)

もう少し具体的に言えば、『この財産をあげる代わりにこういったことをしてほしい』、という時に使っていきます。

実務上、遺言の中で多く使われるケースは、

一.全ての財産を長男に相続させる
二.前項の負担として、長男は遺言者の妻◯◯の一生涯、介護扶養をしなければならない

といった表現です。

実際にそのようにして欲しいからという場合もありますが、何の負担もなしに全ての財産を長男に相続させると、後々に二男たちと遺留分争いになる可能性がある時などに、わざわざ上記の文言を入れたりします
(もちろんケースバイケースではありますが)

 

家督相続で全て長男が遺産を相続していた旧民法時代は、この負担が当然に盛り込まれていたと解されており、権利を引き継ぐものが義務も引き受け、一族の大黒柱として遺産を承継できなかった弟たちの面倒を見るのが通常でした。

その為、遺産相続で争いに発展したことはないと言われています。

権利は主張出来るが義務は履行しない、という現代の遺産相続においては、遺言を作る際、上記の負担を本文に入れておくのも一つの対策と言えます。

万が一、遺産を承継する者が負担を履行しない場合他の相続人から家庭裁判所に請求をして遺言を取り消すことができる強力な義務なので、遺言を遺す方にも安心と言えるでしょう

 

5.付言事項

付言事項とは、遺言の本文以外の部分に載せるメッセージのことをいいます。

遺言本文には法的効力があるものを記載していくのですが、この付言事項には法的効力がありません

しかし、遺言者の相続人へ宛てた最後のメッセージとして、下記のようなことを記しておけば、無用な争いを防ぐ効果があります

 

「二男◯◯には生前に自宅購入代金として、1000万円贈与しているので、今般の相続では長男に全てを相続させることとしました。
長男◯◯も二男◯◯も私の宝物でした。
今でも長男◯◯、二男◯◯が生まれた時のことを覚えています。
ですので、私亡き後は兄弟で争いをしてほしくありません。
父の最後の遺志をくみ取り、遺言通りに手続きをしてもらえることを願っております。」

 

日本人は面と向かって意思表示をすることが非常に苦手と言われております。

遺言でこういったメッセージを残すことで、もしかしたら争いを防ぐことができるかもしれません。

また万が一、遺言無効確認の訴えに事が発展した場合にも、遺言を作るに至った経緯やその時の背景事情を記しておけば、遺言者の真意がどこにあるか等、遺言作成当時の有力な事実を推測することに役立つと言えます

 


いかがでしょうか?

当法人では、何故遺言を書くのか、その方の置かれた背景事情や家族関係、遺留分のこと等を踏まえ、オーダーメイド型の遺言文案を提案することを心がけています。

相続対策でお悩みの方は是非一度、目黒区学芸大学駅、渋谷区マークシティの司法書士法人行政書士法人鴨宮パートナーズまで、お気軽にご相談下さい。

 

 

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相続のキホン② ~遺産分割協議とは~ (2020.10.20)

 

 

 

 

前回より相続の考え方、法律用語などを不定期にお届けしております『相続のキホン』。

今回は、『遺産分割協議』について取り上げていきたいと思います。

『遺産分割協議』とは?

ご家族・ご親族のうちで相続が発生した際、亡くなった方(被相続人)の法定相続人を確定財産調査を終えた後、誰がどの遺産を相続するか、遺産の分け方を決めなければなりません。

これを「遺産分割」と言い、相続人全員が参加して遺産の分け方を決める話し合いを「遺産分割協議」と言います。

民法では、相続人の順位によって法定相続分が定められていますが、相続人全員が合意すれば、民法で決められた法定相続分と異なる分け方をすることもできます

遺言がなく、相続人が2人以上いる場合、その他に相続分譲渡証明書特別受益証明書が無い限り、必ずこの協議が必要となります。

法定相続通りに分ける場合でも、どの財産を誰が引き継ぐかを具体的に決める必要があります。

こうした分割協議において、最終的に合意に至った内容を書面に取りまとめた文書=「遺産分割協議書」を作成し、登記預貯金の解約税務申告等に用います。

 

 

いつどこで必要になるもの?

遺産分割協議書作成の期限は特に決まっていませんが、相続税がかかる場合は、相続税の申告に間に合うよう10ヶ月以内に行う事が通常です。
(実際には相続税申告の手続書類に相応の時間がかかりますので、申告期限の3ヶ月程前には遺産分割を終えておく方が良いでしょう。)

また、相続税がかからない場合でも、相続関係が複雑にならないように、早めに遺産分割協議書を作成する事をお勧めします。

相続人全員で署名実印で押印し、相続人の人数分作成して各自で保管します。

相続登記や銀行預金の名義変更などで、この協議書と印鑑証明書を併せて提出します。

 

 

分割方法

分割方法には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つの方法がありますが、今回は最もオーソドックスな現物分割をした場合の遺産分割協議書の書き方をご紹介します。

現物分割とは、例えば、不動産は配偶者へ、預貯金は子供全員に均等に、といった具合に、遺産を分割する方法を言います。

書き方として、金融資産は金融機関名・支店名・口座番号等、出来るだけ特定する事をお勧めします。

 

●不動産

市役所や都税事務所から届いた固定資産税の通知書に、土地の地番や建物の家屋番号が記載されているので、その地番等を基に法務局にて登記簿謄本を取得できます。

但し、固定資産税の通知書にも記載されていない場合もありますのでご注意ください。

権利証の確認等で、非課税の私道部分の登記漏れを防ぐ為にも、念のため司法書士に助言を受けた方がよいでしょう。

 

●預貯金

預貯金の金額は、遺産分割協議書に記載してもしなくても、どちらでも構いません。

誰がどの銀行のどの口座を相続するか具体的に記載します。

 

戸籍上相続人であると判明しているのに、一部の相続人を除いて遺産分割協議書が作成された場合や、相続人ではない人が加わっていた場合など、協議書自体の有効性が争われるケースがあります。

作成について不安が残る方は、是非一度当法人までお気軽にお問合せください。

 

 

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任意後見制度利用の流れ (2020.09.08)

 

 

≪目次≫
任意後見制度利用の流れ
<その1>3つのパターンから選択
<その2>任意後見契約内容の決定
<その3-1>任意代理契約の締結、支援の開始
<その3-2>公正証書にで任意後見契約を締結
<その4>任意後見監督人選任を家庭裁判所に申立
<その5>家庭裁判所の審判
<その6>任意後見契約の効力が生じ、支援開始
<その7>任意後見契約の終了

 

以前のトピックスで「任意後見制度」の概要や任意後見のパターン等をご説明させて頂きました。

⇒【任意後見制度の概要と契約の流れ】はこちら

今回は任意後見制度利用の流れについてより詳しくみていきます。

 

任意後見制度利用の流れ



<その1>3つのパターンから選択


即効型・移行型・将来型の3パターンから自分に合ったものを選びます。


<その2>任意後見契約内容の決定


●任意後見受任者(判断能力が不十分になった後に支援してくれる人)を決める

任意後見受任者(将来的な任意後見人)になるのに資格は必要ありません

未成年者や破産者等以外で信頼できる家族や親戚もしくは司法書士や弁護士、その法人と契約する事もできます。

誰に依頼するのかは今後に直接的に関わってきますので、十分に検討し実際にその方とよく話し合って決めていきましょう。

 

●契約内容を決める

契約内容に記載された事項に基づいて支援が行われるので、契約内容に不備があると、自分が支援してほしいことがやってもらえない等の不具合が出てしまいますので慎重に検討しましょう。

任意後見人の報酬額や支払方法等も契約にて決めていきます。支援する内容ごとに細かく決定しておく必要があります。

「施設に入所する場合はどこがいい」「かかりつけ医はどこの病院」等ライフプランを作成し、決めていきます。

 



<その3-1> 任意代理契約の締結、支援の開始


意思能力が低下する前にすでに支援を始める「移行型」の場合、任意後見契約のほかに「見守り契約」や「財産管理契約」等の任意代理契約を結び、任意代理人による支援が始まります。

契約内容をライフプランに沿って細かく決め、希望する支援が受けられるよう契約しましょう。

<その3-2> 公正証書にで任意後見契約を締結


契約内容をよく検討し、内容が決定したら、任意後見契約を公正証書で結びます

将来支援する方を「任意後見受任者」と呼び、任意後見契約で締結した内容が登記されます。移行型を選択した場合、同時に任意代理契約も公正証書にすることがあります。

この際、任意後見契約は公正証書で締結しないといけないので注意が必要です

任意後見契約締結までは上記の流れで終了し、後々の将来に判断能力が不十分になったら支援が始まります。

 


<その4> 任意後見監督人選任を家庭裁判所に申立


本人に認知症の症状がみられるなど、本人の判断能力が低下したら、本人の住所地の家庭裁判所に「任意後見監督人選任を申し立てます。

申立が出来るのは、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者になります。本人以外の申立の場合、本人の同意が必要となります。

 



<その5> 家庭裁判所の審判


家庭裁判所が調査・審問・鑑定等して必要性を判断し、任意後見監督人を選任します。選任がされると、申立人や任意後見人等に通知され、審判内容が登記されます。
※移行型の場合、任意代理契約が終了し任意後見での支援開始となります。

任意後見監督人選任の審判への抗告期間が終了すると、いよいよ支援が始まります。

<その6> 任意後見契約の効力が生じ、支援開始


支援する人の呼び名が「任意後見受任者」から「任意後見人」に変わります。

公正証書で締結した任意後見契約内容に基づき、支援が始まり、裁判所の選任した任意後見監督人が任意後見人を監督します。

報酬については、任意後見人は契約で定めた報酬額、任意後見監督人は家庭裁判所が決定した額となります。

<その7> 任意後見契約の終了


本人または任意後見人が死亡・破産すると契約は終了します。また、任意後見人が認知症等により被後見人になった時も任意後見契約は終了します。

 

 

任意後見契約の内容は今後のご本人様の人生にかかってくる大事な内容になります。

当法人では、ライフプランの作成から任意後見契約の内容・任意代理契約の内容まで、ご本人様と慎重に検討をして、よりよい人生を送るためのお手伝いをさせて頂きます。

任意後見制度のご利用をご検討の方はお気軽にお問合せ下さい。

 

 

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